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SEOは株式投資と同じ、は半分正しい ―― キーワードの"需給"と、これから来る言葉に賭ける技術

SEOは株式投資と同じ、は半分正しい ―― キーワードの"需給"と、これから来る言葉に賭ける技術

「SEOって、要は株式投資と同じじゃないか」。最近、社内でそんな話になった。キーワードには需要と供給があって、値がつく。人気の言葉はもう高く買われていて、後から入っても利鞘が薄い。だったら、これから値上がりしそうな言葉を先に仕込んでおくべきだ――。

この直感は、半分は当たっている。しかも、多くの人がなんとなく感じている「ビッグワードで消耗する虚しさ」を、うまく言い当てている。ただ、投資の比喩をそのまま信じると足をすくわれる。株とSEOは、似ているようで決定的に違うところがある。そして、その違いの中にこそ、小さな会社が勝てる余地が残っている。

この記事では、比喩の「当たっている半分」と「外している半分」を分けたうえで、では実際に何に賭けるべきかを、自分たちが今やっていることも含めて書いていく。

キーワードには、たしかに"株価"がある

まず、当たっている半分から。

キーワードの値段は、ざっくり 需要 ÷ 供給 で決まると考えていい。

  • 需要=そのキーワードの検索ボリューム。月にどれだけ検索されているか。
  • 供給=そのキーワードを狙って書かれた競合コンテンツの量と、それを出しているドメインの強さ。

Web制作」「動画制作」みたいなビッグワードは、需要は巨大だが供給も凄まじい。大手制作会社もメディアも、何年も前から分厚い記事とLPを積み上げている。ここに後発の小さな会社が新しい記事を一本足しても、順位はほとんど動かない。すでに価格に織り込まれているからだ。株で言えば、誰もが知っている優良銘柄を高値づかみするようなもので、そこから利鞘を取るのは難しい。

逆に、早く入ることの価値も本物だ。SEOでは、被リンク・ドメインの運用年数・特定テーマでの記事の厚み(トピック権威)が、時間をかけて複利で効いてくる。同じ言葉を狙うなら、競合が少ないうちに入って権威を積み始めたほうが、後から資本を投じるより圧倒的に有利になる。ここは「先行者利益」という投資の発想がそのまま当てはまる。

ここまでは、比喩は気持ちいいくらい機能する。問題はこの先だ。

でも、SEOは"株"より"事業"に近い

投資の比喩が外している半分は、ひとことで言うと 「SEOは、自分で価値を作れる非効率市場だ」 ということに尽きる。

株を買っても、あなたはその会社の中身を良くできない。株価は他人が決める。だから効率的市場では利鞘が消える。ところがSEOは違う。あなた自身がコンテンツの質を上げれば、自分の順位を動かせる。 実際にやった人にしか書けない一次情報、他が持っていない切り口、読者が本当に動ける具体性――こういう「中身」で、織り込み済みに見えるキーワードでも割って入れることがある。ここが株と決定的に違う。だから「もう埋まってるから無理」は、しばしば言い訳になる。

一方で、比喩を過信すると見落とす落とし穴もある。

ひとつ目は、需要が来ないことがあるという点。「これから伸びる」と踏んで先回りしたキーワードが、結局ずっと検索されないまま終わることは珍しくない。先に作ったLPに、誰も来ない。これは青天井の優良株というより、当たれば大きいが外せばゼロの投機に近い。未来に賭けるとは、そういうリスクを取ることだと自覚しておいたほうがいい。

ふたつ目は、取引所がルールを変えること。Googleはアップデートで評価基準を平気で書き換えるし、いまはAI検索(AI OverviewsやSGE)が、検索結果の上に答えを直接出してしまう。ユーザーがクリックせずに満足する「ゼロクリック」が増えれば、これまで稼いでいたキーワードの流入が、ある日ごっそり消える。株の市場で言えば、取引所そのものが決済ルールを変えたり、銘柄を上場廃止にしたりするようなものだ。この不確実性は、実は次の話につながる。

じゃあ、何に賭けるのか

需給で見つつ、価値を作れて、ルール変更にも耐える。この三拍子で考えると、狙うべき"割安"は三種類に整理できる。

これから需要が来る「新語」を先回りする

新しい技術、新しい法律、新しいサービス名。世の中に新しい概念が生まれると、それを指す言葉の検索需要はゼロから立ち上がる。ここに競合がまだいないうちにコンテンツやLPを置いておくのが、いちばん教科書どおりの"先回り"だ。

見つけ方にはコツがある。英語圏で先に流行った言葉は、少し遅れて日本語で検索され始める。海外のツール名・概念が日本に降りてくるまでのタイムラグは、そのまま仕込みの猶予になる。Googleトレンドでカーブが右肩上がりの初動を拾う、隣接する業界の動きから「次にこの言葉が要る」と読む、といった観測も効く。

正直に言えば、自分たちもこれをやっている。「AI動画制作」というキーワードは、まだ検索需要が伸びきっていない。だからこそ、需要が本格化する前の今のうちに、専用のLPと解説コンテンツを積んでポジションを取りにいっている。来るかどうかの賭けではあるが、来たときに"すでにそこにいる"側でいたい、という判断だ。

ボリュームは小さいが「利回り」が高いロングテール

需給の大きさだけで見ると、小さいキーワードは見落とされる。だが投資と同じで、大事なのは規模より利回りだ。

「(サービス名) 料金」「(地域名) (サービス) 依頼」のような、検索数は少なくても購買意図が濃い言葉は、少ない流入でも問い合わせにつながる。ビッグワードで1万人集めて1件も動かないより、100人来て3件動くほうが、事業としては儲かる。競合も手薄なことが多いので、手堅く積める"高配当株"のポジションになる。

AI検索に「耐える」問いを持っておく

AIが答えを要約してしまう時代に生き残るのは、AIが勝手に代弁しにくいコンテンツだ。実際にやった人の一次データ、具体的な比較、体験に基づく判断――このあたりは、AIが一般論で埋めるのが難しく、むしろ「引用元」として拾われやすい。ルール変更に強いポートフォリオを組むなら、この手の問いを何本か持っておくのが効く。

投資と同じで、「握力」が要る

もうひとつ、比喩がちゃんと当たっている大事な点がある。SEOには決算までのタイムラグがある、ということだ。

記事を出しても、順位に反映されて流入が育つまでには数ヶ月かかることが多い。しかも、その効果は複利で効く。つまり、いちばんの損は「短期で成果が出ないからやめる」こと――狼狽売りだ。仕込んだ直後の含み損に耐えられず手放すと、複利が働き始める直前で降りることになる。未来キーワードに賭けるなら、成果が出るまで握り続ける前提で入るべきだ。

リスク管理:一点張りをしない

ここまでを踏まえると、結論はシンプルになる。キーワードは、ポートフォリオで持つ。

  • ビッグワード:勝てれば青天井だが、後発は勝ちにくい。少額の長期ポジション、あるいは"諦めて指名検索を育てる"。
  • 未来キーワード:当たれば大きい投機枠。空振り前提で複数本に分散。
  • 高利回りロングテール:手堅く問い合わせを生む主力枠。ここを土台にする。

全部を一本のキーワードに賭けない。これは投資とまったく同じ規律だ。「これから来る言葉に先回りする」のは正しいが、それ"だけ"に張るのは、それはそれでリスクの取りすぎになる。

まとめ:自社のキーワードを棚卸しする

最後に、自分たちの言葉を投資家の目で見直すためのチェックリストを置いておく。

  • いま流入を稼いでいるキーワードは、需要が今後も続くか(AI検索に食われないか)
  • 主力キーワードは織り込み済み(大手だらけ)になっていないか。だとしたら、一次情報で差別化できる余地はあるか
  • 検索数は小さくても購買意図が濃い言葉を、取りこぼしていないか
  • これから来そうな新語を3つ挙げられるか。挙げられないなら、英語圏・隣接業界・トレンドの初動を観測する仕組みがあるか
  • キーワードが一点張りになっていないか。ビッグ/未来/ロングテールで配分できているか
  • 仕込んだコンテンツを、成果が出るまで握り続ける前提で運用できているか

「これから来る言葉に、競合が来る前に旗を立てておく」。この発想は、少人数の会社ほど効く。大手が資本で殴ってくるビッグワードで消耗するより、まだ値がついていない言葉に先に座っておくほうが、勝率も利回りも高いからだ。

もし「うちの業界で、これから来そうな言葉は何か」「どのキーワードにLPを立てるべきか」を一緒に棚卸ししたい場合は、その発掘とコンテンツ/LP化までまとめて相談してもらえればと思う。

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