大阪のAI動画・ホームページ制作会社

最寄駅までの数分が購入を後押しする

最寄駅までの数分が購入を後押しする

電車の中が、いちばん長い買い物時間になっている

通勤電車の中で、ネットショッピングをすることがよくある。

必要な商品を探す場合もあれば、特に目的もなくショップを眺めることもある。

考えてみると、自宅よりも電車の中で商品を見ている時間のほうが長いかもしれない。

家に帰れば、食事があり、風呂があり、家族との時間がある。腰を据えて買い物を検討する時間は、意外と残っていない。

一方で、電車の中には他にやることがない。座っていても立っていても、手にはスマートフォンがある。

だから、買い物の入り口はたいてい移動中に開く。

これは自分だけの話ではないと思う。スマートフォンで通販サイトを見ている人の多くは、机に向かって集中して見ているわけではない。

移動している。並んでいる。待っている。その合間に見ている。

つまり、サイト側が想定すべき利用状況は「じっくり閲覧している人」ではなく、「途中で終わるかもしれない人」だ。

「最寄駅まで」は、店が用意していない締切

必要なものがあるときは、最寄駅に着くまでに購入まで済ませたいと思う。

電車を降りると歩きながら操作できず、家に着いてから続きをしようとしても、別のことに気を取られてしまうからだ。

マーケティングの視点で見ると、この「最寄駅まで」という時間制限が、購入を後押ししているように思える。

商品にセール期限がなくても、利用者の行動には期限がある。

ここが少し面白いところだと思う。

売り手が作る締切は、たくさんある。タイムセール、クーポンの有効期限、在庫が残りわずかという表示。

けれど利用者は、それとは別に自分の締切を持っている。降車駅、昼休みの終わり、子どもが起きる時間、会議の開始時刻。

売り手からは見えない。それなのに、購買の判断に効いているのはむしろこちらだ。

残り時間が少なくなるほど、比較や検討を早く切り上げ、購入を決断しやすくなる。

言い換えれば、締切は購入を後押しする力にもなるし、離脱させる力にもなる。

数分の中で買えるサイトなら、締切は後押しになる。買えないサイトなら、締切はそのまま離脱の理由になる。

同じ人が、同じ商品を見ていても、結果が変わる。

途中でやめた人は、興味を失ったわけではない

カートに入れたまま買われなかった。入力フォームの途中で消えた。

こういう数字を見ると、どうしても「価格で負けた」「商品が刺さらなかった」と考えたくなる。

もちろん、そういう場合もある。

けれど電車の中の自分を振り返ると、買わなかった理由はもっと単純なことが多い。

駅に着いた。

興味は消えていない。ほしい気持ちもある。ただ、時間が尽きただけだ。

この違いは大きいと思う。

興味を失ったのなら、打ち手は商品説明や価格、写真の見直しになる。

時間が尽きたのなら、打ち手は工程の短縮と、再開のしやすさになる。

同じ「離脱」という言葉でも、原因が違えば直す場所が変わる。

そして厄介なことに、時間切れの離脱は、アンケートにもレビューにも出てこない。

不満があるわけではないので、わざわざ言わないからだ。

数字の上では、ただ静かに消えているように見える。

もちろん、離脱の理由が時間切れだけとは限らない。送料の後出しや会員登録の強制のように、店側の設計そのものが離脱を作っている場合もある。そちらの仕掛けについては注文確定ボタンの、その手前で詳しく書いた。

数分を、工程で分解してみる

だからこそスマートフォン向けの通販サイトでは、商品を探してから購入するまでの短さが重要になる。

ただ、短さと言っても、感覚で「サクサクにする」では改善できない。工程に分けて、どこで時間が消えているかを見る必要がある。

だいたい、こういう順番になる。

サイトを開く。検索する。一覧から絞り込む。商品ページを読む。サイズや色を選ぶ。カートに入れる。ログインまたは会員登録をする。住所と支払い方法を入力する。内容を確認する。注文を確定する。

このうち、力を入れられがちなのは商品ページの手前までだ。

写真をきれいにする。説明を充実させる。レビューを載せる。

そこはもちろん大事だが、時間を食っているのは、たいていその後ろにある。

最初の表示に数秒かかる。絞り込みのたびにページ全体が読み込み直される。カートに進むと会員登録を求められる。郵便番号を入れても住所が自動で埋まらない。決済方法を選ぶ画面が分かりにくい。

読み込みが遅い、入力項目が多い、決済方法が分かりにくいといった小さな不便があるだけで、駅に着いて購入を諦める可能性がある。

一つひとつは、数秒から数十秒の話でしかない。

けれど数分しか持っていない人にとっては、その積み重ねが致命的になる。

確かめる方法は単純で、実際にスマートフォンを持って、電車と同じ条件でやってみるのが早い。

片手で操作する。電波が弱い。周りに人がいる。途中で駅名のアナウンスが入る。

その条件で最後まで行けるかどうかが、答えになる。

社内のパソコンで、有線の回線で、両手で確認したときの「問題なし」は、この場面ではあまり参考にならない。

速くするより、「途中で終わっても戻れる」を作る

工程を短くするのは正しい。ただ、どれだけ削っても、数分に収まらない買い物はある。

高額な商品。サイズ選びに迷う商品。家族と相談したい商品。

こういう買い物では、駅に着いた時点で判断が終わっていないほうが普通だ。

そこで効いてくるのが、途中から再開できるかどうかになる。

カートの中身が残っているか。ログイン状態が保たれているか。見ていた商品を履歴から探せるか。スマートフォンで見ていた続きを、パソコンで開けるか。

家に着いてから続きをしようとして、また検索からやり直しになるなら、その時点で気持ちは切れる。

逆に、開いた瞬間に「さっきの続き」が出てくるなら、夜の10分で決着がつくこともある。

決済手段も、同じ意味を持っている。

すでに登録されている支払い方法や、端末に入っている決済を使えるなら、入力にかかる時間はほぼゼロになる。

これは利用者に楽をさせるという話ではなく、細切れの時間でも完了できる状態を作るという話だ。

短くする。途切れても戻れるようにする。

この二つはセットで考えたほうがいいと思う。

最後に出てくる送料と納期が、数分を壊す

もう一つ、数分を壊しやすいものがある。

金額と日付の不確定さだ。

送料がいくらかかるのか。いつ届くのか。返品できるのか。

これが注文確認の直前まで分からないと、そこで手が止まる。

止まっているうちに駅に着けば、そのまま終わる。

ここは技術というより、情報の出し方の問題になる。

商品ページの時点で、送料の条件と、だいたいの到着日を出す。返品の可否を一行で書く。

決めるための材料が早く揃うほど、判断は早くなる。

締切を持っている人にとって、最後に増える情報は一番嫌なものだ。

全部はできないので、順番をつける

ここまで書いたことを一度に直すのは、現実的ではない。

だから順番をつける。

まず、数字で当たりをつける。スマートフォンでの表示速度、商品ページからカートへの遷移率、カートから注文完了までの通過率、決済手段ごとの完了率。

このうち極端に落ちている段があれば、そこが最初に直す場所になる。

次に、自分で通してみる。数字は場所を教えてくれるが、理由までは教えてくれない。

そして直す順番は、落ちている段のうち、いちばん後ろからがいい。

カートまで来た人は、すでに買う気がある人だ。その手前をいくら磨いても、出口が詰まっていれば結果は変わらない。

改善の手応えも、後ろのほうが早く出る。

前工程の改善は、そのあとで効いてくる。

チェックリスト:駅に着くまでに買えるサイトか

  • スマートフォンの回線で、トップと商品ページが数秒以内に表示される。
  • 検索と絞り込みが、ページ全体を読み込み直さずに動く。
  • 商品ページに、送料の条件とだいたいの到着日が書いてある。
  • 返品できるかどうかが、買う前に分かる。
  • カートに入れる前に会員登録を求めていない。
  • ゲストのまま購入できる。
  • 郵便番号から住所が自動で補完される。
  • 入力項目に、本当に必要なものだけが並んでいる。
  • 端末に登録済みの決済手段が使える。
  • カートの中身とログイン状態が、時間をおいても残っている。
  • 見ていた商品を、履歴からすぐ見つけられる。
  • 別の端末で続きを開ける。
  • 片手で、最後まで操作できる。

全部に「はい」と言えなくてもいい。

言えなかった項目のうち、注文完了に近いものから直していく。

電車の数分を、買い物の時間として設計する

電車内の数分間は、単なる暇つぶしの時間ではない。

商品との出会いから購入までが完結する、貴重な購買時間なのだと思う。

その数分に耐えられるかどうかは、デザインの好みや広告の量では決まらない。

表示の速さ、入力の少なさ、決済の分かりやすさ、そして途切れても戻れること。

地味な部分の積み重ねが、駅に着くまでに買えるかどうかを分けている。

利用者は、そこまで意識して離脱しているわけではない。

ただ、駅に着いただけだ。

その数分を設計できているかどうかが、静かに差になっていく。

FREETANCEで大切にしていること

FREETANCEでは、ECサイトやWebサイトを作るときに、見た目だけでなく「どんな状況で使われるか」を大切にしている。

移動中なのか、休憩中なのか、比較検討の途中なのか、もう決めているのか。

状況が違えば、必要な情報も、許される手間も変わる。

きれいなサイトを作ることと、数分で買えるサイトを作ることは、同じではない。

表示速度、入力の設計、決済手段、再開のしやすさ。そこまで含めて考えて、はじめて売上につながる導線になる。

すでに運用しているサイトであれば、どの段で落ちているのかを数字で見て、直す順番を決めるところから始められる。

スマートフォンでの購入が伸びない、カートで止まっている気がする、そもそもどこを直せばいいか分からない。

そういう状態でも大丈夫なので、FREETANCEへご相談ください。

Web制作・AI導入のご相談はこちら

FREETANCEでは、AIを活用したWeb制作や業務効率化の支援を行っています。
お見積もりやご相談など、お気軽にお問い合わせください。